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事業承継の失敗例
 よくある事業承継の失敗例を記載いたします。
 当てはまっている、又は当てはまりそうだという経営者や後継者の方は、お早目
 の事業承継対策を講じることをお勧めします。

事業承継の失敗例 1

       現経営者:太郎(65歳) 後継者候補:長男 一郎(38歳) 
       相 続 人:妻 花子、次男 二郎、長女 華子
 太郎は非上場の中小企業の経営者であるが、事業承継を考える前に突然亡くなってしまった。
 遺言書もなく、後継者の話が全く出ていなかったので、一郎・二郎・華子全員が会社を継ぐこと
 を主張。相続分で遺産相続をすることを検討するが、株式が分散して三竦み状態になるか、
 株式以外で妥協するかの2択しかないが、全員が経営権を譲らないので株式の相続人が決ま
 らない。株式総会を開き取締役を決める必要があるが、株式の共同相続人の代表すら全員が
 譲らず、取締役の決議どころか、経営にかんする議決すらできない状態に陥り、経営に空白の
 期間ができてしまう。結果、取引先が離れてしまい、後継者問題が解決しても経営が傾く。
   (これとは逆に個人保証を嫌い、経営権の押し付け合いによる事業承継失敗もあります)
上記の場合の事業承継対策
 上記の場合、太郎の生前から事業承継を計画する必要があります。会社を継ぐ意欲がある相続
 人が複数いる場合には、特に事業承継の計画が重要です。
 遺言書で株式を相続させ、後継者候補に経営権を集中させることも可能ですが相続手続きを終
 えるまでは経営権を安定的なものにさせることができないので緊急な場合でないとお勧めはしま
 せん。
 また、相続人が複数いる場合には、後継者と非後継者との利益の調整をすることが事業承継を
 円滑に行うポイントの1つとなります。中小企業の経営者の財産のほとんどが経営している会社の
 株式や事業用資産であることが多く、後継者と非後継者の相続分に不公平感が生まれ、それが
 原因で事業承継の妨げになることがあります。
 当事務所では中小企業経営承継円滑化法の除外合意・固定合意を利用し、後継者と非後継者
 である相続人の利益の調整を行い、円滑な事業承継をサポート致します。

事業承継の失敗例 2

       現経営者:太郎(65歳) 後継者候補:長男 一郎(38歳) 
       相 続 人:次男 二郎、長女 花子
 太郎は非上場の中小企業経営者(株式を100%保有)であり、10年後に引退を考え長男への
 事業承継を計画。資力のない長男へ株式を贈与することにした。
 贈与税への対策も練り事業承継は完了し事業承継から2年後、前経営者太郎が亡くなり相続
 が開始。相続財産は預貯金があるぐらい。
 後継者を長男に決めた当初は理解を示していた一般企業に勤める次男でしたが不況の煽りで
 給与が減り、育ち盛りの子がいるので相続財産を期待していた。 
 ところが、預貯金の相続分だけでは期待していた額には足らなかったので生活の為遺留分権を
 行使。結果、現経営者一郎は遺留分に従い、株式を二郎に渡すか、金銭で代償するかの2択
 を迫られた。価格代償の資力もなく、株式を渡すと経営権が分散し、経営が不安定なものにな
 る。一郎は困った・・・
上記の場合の事業承継対策
 中小企業の経営者の財産のほとんどが経営している会社の株式や事業用資産であることが多
 く実際に相続が開始されると非後継者である相続人の相続分が思いのほか少ない場合があり
 ます。その場合、後継者と非後継者の相続分に不公平感が生まれ、それが原因で事業承継の
 妨げになることがあります。
 事業承継計画を練る際には相続も考慮する必要があります。事業承継自体は経営権の集中、
 税金対策、許認可等の維持を中心に考えますが、相続は法律論だけでなく、相続人の心情が
 関係してきます。相続は相続人だけでなく、被相続人とは他人である配偶者等の家族も口を出
 すため(もちろん法的な権利はないですが)法律論で論破しようとすると、紛争が激化することに
 もなります。事業承継の節税対策で贈与を利用しますが、非後継者である相続人との関係が
 こじれてしまうと遺留分を主張され、大金を用意するか、株式又は事業用資産の一部を渡す
 ことになり安定的な事業承継ができなくなります。
 これらのリスクを軽減するため中小企業経営承継円滑化法の除外合意や固定合意に加え、
 その他の合意等を活用し、円滑な事業承継をサポート致します。

事業承継の失敗例 3

      現経営者:太郎(65歳) 後継者候補:長男 一郎(38歳) 
      相 続 人:次男 二郎、長女 花子
 太郎は非上場の建設業を営む中小企業の経営者(株式を100%保有)であり5年後に引退を
 考え長男への事業承継を計画。資力のない長男へ株式を贈与することにし贈与税への対策を
 メイン事業承継計画を立てた。事業承継計画立案から2年後、経営者太郎が亡くなった。
 株式に関しては二郎・花子と話合い経営権は確保できた。
 経営管理責任者(又は専任技術者)は故太郎であったが一郎には実務経験が足りないので、
 建設業許可が維持できずに困った・・・。一か八か無許可で仕事をするのか、経営に空白の
 期間を作ってしまい信用と取引先を失うのか、要件をクリアをしたものを連れて来て会社を支配
 されるリスクをおかしながら経営を続けるのか・・・
上記の場合の事業承継対策
 建設業を営んでいる会社の事業承継では
  @ 経営権(株式)の集中
  A 許認可の承継
  B 後継者と非後継者である相続人との均衡
 の3つが基本的なテーマになります。 小規模の建設業では代表取締役が経営管理責任者と
 専任技術者を兼任していることは珍しくなく、事業承継の際は後継者が経営管理責任者と
 専任技術者になるか、後継者が経営管理責任者になり、他の社員等を専任技術者になること
 が必要です。事業承継の際は上記@とB、許認可を必要とする事業にあっては加えてAを考慮
 した事業承継計画をたてる事が必要です。
 許認可が必要な事業承継に関しては
業種別事業承継のページをご参照下さい。
 建設業の事業承継に関しては
建設業と事業承継のページをご参照下さい。

事業承継の失敗例 4

     現経営者:太郎(65歳) 後継者候補:社員A(45歳) 
     相 続 人:長男 一郎、次男 二郎(どちらも先妻の子) 後妻 銭子
 太郎は非上場の中小企業の経営者(株式を60%保有)であり、生前は後妻と暮らしており先妻
 との子とは音信不通であった。後妻との子はおらず、事業承継を考え有望な社員Aを後継者と
 し、株主総会でAを代表取締役に選任し、数年後、太郎は遺言者を残さず他界した。
 相続財産は株式と少しばかりの預貯金のみであった。一郎、二郎は会社を継ぐ気持ちはなかっ
 たが、後妻との折り合いが悪い上に相続についても揉めた。最終的に相続分の株式の額に相当
 する金銭を銭子が一郎、二郎に支払い、銭子が株式を保有することで解決した。
 過半数の株式を保有した銭子は、現在の取締役の任期終了後役員報酬欲しさに株主総会で
 自分を選任し、社員Aを代表取締役の座から下ろす計画を立てているようだ。事業承継失敗
 どころか会社存亡の危機だ・・・
上記の場合の事業承継対策
 安定的な事業承継には経営権(株式)の集中が必要です。
 役員や社員等を後継者にする事業承継では後継者に株式を買取る資力があるか、相続税・
 贈与税を納税する資力があるのかが問題となります。また、素行の良くない相続人に株式が
 渡ってしまうと会社の存在自体が危うくなります。その他にも遺言書のない相続財産は全相続
 人の準共有状態になるので、株主総会で議決権を行使する為には代表者を選任する必要が
 あるますが、揉めている状態では議決権行使の代表者を選任することは困難です。
 そうなると、株主総会で議決すべき重要事項が議決できず、会社運営が困難になってしまい
 ます。当事務所では上記の場合
 @ 中小企業経営承継円滑化法の活用
 A 定款の変更(種類株式の活用)
 B 遺言書の活用 
               等の手段で円滑な事業承継をサポート致します。

事業承継の失敗例 5
      前経営者:太郎(故人) 後継者:長男 一郎(60歳) 
      相 続 人:妻 花子、次男 二郎、三男 三郎、四男 四朗
 前経営者である太郎は事業承継に関して税理士と相談し税金対策のみを行った(この当時は
 事業承継という概念はありませんでした)
 前経営者太郎の株式を暦年課税制度を利用し、花子(妻)一郎(長男)二郎(次男)三郎(三男)
 四朗(四男)に均等に贈与した。(株式は譲渡制限付株式)
 しかし、過半数の株式を太郎(前経営者)が保有している段階で太郎が死亡し相続が発生した。
 事業用資産が太郎(前経営者)の個人名義であったことから相続財産の大半を占める事業用
 資産の相続を、他の相続人に懇願した。太郎の相続財産である株式数を均等に相続させる
 ことを条件に、遺産分割協議を無事終えた。
 「家業は長男が継ぐ」という意識もあって、配当金があった時代には問題なかったが、不景気に
 なり配当金がなくなった頃からその他の相続人には不満が出始めた。
 その空気を察知した太郎は経営者の立場を安定させる為母親である花子を言いくるめ花子の
 保有する株式を贈与してもらい、発行済み株式数の半数を保有すること成功した。この行動を
 知ったその他の相続人は、太郎(前経営者)の相続に対する不公平感に加え一郎(現経営者)
 への不信感も持つ事となった。
上記の場合の事業承継
 事業承継対策は総合的に行う必要があります。上記のように税金対策のみで終わってしまうと
 相続権や遺留分が浸透しつつある現在では【争族問題】が発生する可能性があります。定款を
 確認しないと一概には言えませんが、同族で株式を保有している会社には株式に譲渡制限が
 ついていることが多いのが現状です。一郎(元経営者)のとった行動(承認なしの譲渡制限付き
 株式の譲渡)は法的に無効なだけでなく、株式を保有するその他の相続人との関係も悪化しま
 す。その他の株主が反乱を起こし、取締役の任期終了後に株主総会で一郎(現経営者)では
 なく他の人物を取締役とする決議を行う蓋然性も出てきます。この一郎(現経営者)の行動も
 安定した事業承継の妨げとなりますが、太郎(前経営者)の事業承継対策が相続税・贈与税
 対策のみに終わったことが原因であると考えます。
 当事務所では上記の場合
 @ 定款の変更
  ・経営権の集中の為の種類株式の活用
  ・譲渡承認の例外事由の追加(会社法107条2項1号ロ、会社法108条2項4号)

 A 中小企業経営承継円滑化法の活用
 B 遺言書の活用
 C 保険の活用
                等の手段で円滑な事業承継をサポート致します。

事業承継の失敗例 6
  事業承継の有名な失敗例を解説いたします。
 ・前経営者が遺言書での事業承継を計画
                  ↓
 ・内容が異なる遺言書が2通あり、長男と三男が経営権(株式)の相続で最高裁まで争う
                  ↓
 ・敗訴し非後継者となった相続人の三男は、職人を引き連れ独立
                  ↓
 ・その後も商標権侵害等での損害賠償請求訴訟や遺言無効確認訴訟で争い前経営者の
  死後約10年を経て一応の終息を見せる。
上記の場合の事業承継対策
 遺言書での事業承継は急遽事業承継を行う必要がある場合のみに限定すること
 が望ましいと考えます。
 上記の例では遺言書の有効・無効を争点とし、事業承継が大幅に遅れる結果と
 なり、事業を再建するまでに相当な時間が必要となりました。相続開始後に
 相続分や遺留分の争いで、事業承継が遅れることのないように計画的に事業承継
 を行うことが理想です。当事務所では円滑な事業承継をサポート致します。

その他の有名な事業承継の失敗例
 詳細は分りませんが、10数年前のアパレル会社Kも事業承継失敗の例として有名
 です。前経営者の死が経営権の争いのきっかけだったのですが、後継者候補かつ
 相続人の1人が非嫡出子であったこと、会社に多額の負債があったこと等複数の
 原因で事業承継が失敗しました。
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 行政書士 刈谷 定雄
 登録番号 第09302269号
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・法的保護情報講習講師
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