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中小企業経営承継円滑化法〜事業承継に関する遺留分の特例制度〜 |
遺留分権という相続に関する強力な権利をご存じですか?この遺留分権は個人間では強い
味方ですが、会社の事業承継が関係する相続では時限爆弾に変わる可能性を秘めています。
この遺留分権があるがために会社の存続が危ぶまれる事がないように新しい制度を利用し、
会社存続に寄与致します。 |
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大きな公開会社である株式会社は事業承継の際に株主総会等で取締役を新たに決めれば
問題ないのですが、中小企業の場合は代表取締役等の役員が自社の株式や持分を持って
いることがほとんどだと思います。
そこで相続が発生すれば後継者に考えていた者以外の相続人にも相続権があるので、遺留分
を主張されると、会社の株式等が遺留分減殺請求の対象になり後継者が会社に与える影響
が弱くなることが原因で事業承継がうまく行われないといったことがでてきます。 |
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遺留分の放棄といった手で事業承継をスムーズに行うといったことも可能ですが遺留分の放棄
をする相続人にはメリットはなく手間だけがかかるということで現実的ではありません。
また、遺留分の放棄は個々の事案別に審査される為後継者以外の相続人全員の遺留分の
放棄が認められる保証はなく、事業承継の大きな壁となっていました。
そこで中小企業経営承継円滑化法が創設されました。
事前に経済産業省に除外合意、固定合意等の合意があったことを確認してもらい家庭裁判所
からの許可を受けることで遺留分の特別な取扱が可能になりました。 |
<例>中小企業経営承継円滑化法が創設される以前(相続人が3人) |
自社株のうち2千万円分が遺留分減殺の対象となり、後継者以外の相続人へ
金銭を交付するか、遺留分に相当する額の株式を交付する必要がありました。 |
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除外合意(中小企業経営承継円滑化法4条1項1号)とは会社の後継者が旧代表者から贈与
贈与を受けた推定相続人からの相続、遺贈等の株式等の一部又は全部についてその価格を
遺留分算定するための財産の価格に算入しないことの合意です。
除外合意の趣旨は後継者が旧代表者から贈与等により取得した株式等を遺留分算定基礎額
から除外することで事業承継を安定的に行い後継者が会社経営に専念できるようにするため
の制度です。 |
中小企業経営承継円滑化法 除外合意の事業承継への利用例 |
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<解説>
中小企業経営承継円滑化法制定以前では、後継者以外の相続人に1人につき2500万円
の遺留分があるので、後継者以外の相続人へ金銭等を交付するか、遺留分に相当する額
の株式を交付する必要がありました。
後継者に資力があればよいのですが、資力がない場合は株式を渡す必要があり経営権が
分散する危険性がありました。上記の場合は株式についての遺留分が計算から除外される
ので、株式が分散するリスクが廃除されます。 |
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固定合意(中小企業経営承継円滑化法4条1項2号)とは株式等の一部又は全部について
遺留分を算定するための財産価格に算入すべき価格を、当該合意の時の価格とすることです。
固定合意の趣旨は財産の価値が生前贈与後に上昇しても合意時の価格に固定することで
後継者の経営意欲の阻害を防止することにあります。 |
中小企業経営承継円滑化法 固定合意の事業承継への利用例 |
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<解説>
中小企業経営承継円滑化法制定以前では、後継者以外の相続人に1人につき2500万円
の遺留分があるので、後継者以外の相続人へ金銭等を交付するか、遺留分に相当する額
の株式を交付する必要がありました。
後継者に資力があればよいのですが、資力がない場合は株式を渡す必要があり経営権が
分散する危険性がありました。また遺留分算定の価格は贈与時ではなく相続開始時の価格
なので、後継者が努力し株価が上がると遺留分減殺請求の額も高くなるというジレンマも発生
します。上記の場合は業績が上がり、株価が高くなっても遺留分算定基礎額には反映されな
いので、後継者は経営に集中することができるというのが固定合意のメリットです。 |
その他の合意 (中小企業経営承継円滑化法5条、6条) |
上記の固定合意、除外合意、固定合意と除外合意の複合型の合意の他、事業用資産を遺留分
算定基礎財産から除外する旨の合意や後継者と非後継者の相続に関して不公平感をなくすため
に事業承継に必要な相続財産以外の財産に関し非後継者のために遺留分算定基礎財産から
除外する等の合意をすることもできます。
これらの合意を上手く利用することで、円滑で争いのない事業承継を進めることが可能です。 |
除外合意・固定合意のメリット |
除外合意・固定合意(以下、除外合意等)の手続きを行うメリットとして
以下の様なものがあります。 |
後継者のメリット |
後継者は自社株式や事業用資産を確保する必要があります。
特に自社株式の過半数の後継者への集中は安定した事業承継の最低ラインとなります。
相続開始後に遺留分に関する紛争により株式が分散し、経営権を失うことがないよう、事前に
予防できる事が最大のメリットです。
また市場価格のない非上場株式の評価額は会社の財務状況、計算方法等の複数の条件に
より異なります。相続開始後、遺産分割協議を行う前に株式の評価を行うことになると、円滑
な事業承継を阻害することになります。
また評価額に疑義がある場合は、納税だけでなく遺留分の計算にも影響が出ます。こうなると
事業承継が円滑に行えないだけではなく、株式分散のリスクも発生します。
除外合意を行うことで、これらのリスクを排除し事業承継が安定かつ円滑なものとなります。
※納税に関しては法改正により更生の請求期間が5年に延長されました。 |
非後継者である相続人のメリット |
非後継者である推定相続人は除外合意等においてメリットがないように思われます。
しかし、中小企業経営承継円滑化法では6条に推定相続人間の衡平を図るための
措置について規定されています。非後継者である推定相続人は除外合意等の合意時
に6条の合意をすることで、相続財産等にかかる相続分を守る事ができます。
除外合意等を行うことで後継者への偏った相続を防止し、不公平感のない遺産相続
となります。 |
中小企業経営承継円滑化法の申請手続き
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固定合意・除外合意等の合意文書に要件に該当している事の証明書類を添付し経済産業大臣
へ確認申請を行います。経済産業大臣の確認後、確認証明書を家庭裁判所に持って行き、
許可を受けることが必要です。
許可を受けると、合意内容が有効なものとなり、株式や事業用資産の分散やそれらをめぐる
相続人間の紛争を防止し円滑な事業承継が可能になります。 |
無効な除外合意・固定合意等(中小企業経営承継円滑化法10条) |
経済産業大臣の認定後であっても前経営者より先に後継者が亡くなる、株式を処分する等の
事由が発生すると除外合意・固定合意等が無効になります。
ただし後継者以外の相続人が前経営者より先に亡くなったとしても、固定合意・除外合意の
効果には影響しません。また養子縁組や入籍する等、推定相続人が除外合意・固定合意等の
合意時より増えてしまうと、合意当事者のみに効力を有するので、増えた相続人に対しては
除外合意・固定合意の効力を主張できません。増えた相続人に対しては遺留分の放棄という
手段もありますが、遺留分の放棄と除外合意・固定合意等の立法趣旨が違うため、事業承継
を理由とする遺留分放棄は認められない可能性があります。 |
報酬について |
中小企業経営承継円滑化法に基づく遺留分の特例に関する経済産業大臣の
確認申請(除外合意・固定合意)
20万円〜50万円(相続人の数、合意内容により報酬額が変わります) |
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行政書士 刈谷 定雄
登録番号 第09302269号
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